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『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズ

読書

こんにちは、いろはです。
今回は、早坂吝(はやさかやぶさか)さん著書『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズをご紹介します。(以下『探偵AI』シリーズと記載)
AIについての可能性や問題点、そして人間の怖さを教えてくれる小説となっています。
AI探偵・相以(あい)とAI犯人・以相(いあ)の推理対決も見逃せません!

Amazon.co.jp: 探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex) : 吝, 早坂, VOFAN: 本
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『探偵AI』シリーズは、AIの探偵と犯人の推理対決が魅力的な小説

グラフの見方については以下の記事を参考にしてくださいね。

AIがテーマとなっているので、専門用語が多いです。
そこに著者独特の言葉遊びが入ったり、さまざまな登場人物の視点から語られる文章構成だったりするため読書慣れしていない人には読み進めづらいと感じてしまうかもしれません。
ですが、話に引き込まれると一気に読み進められてしまう勢いがあるので縦軸は中間あたりの位置づけにしました。

横軸については、探偵と犯人どちらもAIであるキャラクター設定に新しさを感じました。
探偵役と犯人役のAIを競わせてお互いの能力を高めていくというストーリーも面白いなと感じました。
AIをうまく作品に取り入れていると感じたので新しい寄りの位置づけにしました。

以上の点から総合的には上記のようなグラフの位置づけにしました。
本書は少しトリックが奇抜なものが多いため、それを受け入れられない人にはあまりおすすめできませんが。
トリックが奇抜なものでも大丈夫な人、AIをテーマにしたミステリーを読んでみたい人、現代版ホームズVSモリアーティーのような推理対決が読みたい人にはおすすめです。

こんな人にはイマイチかも…

  • 奇抜なトリックを受け入れられない人

こんな人におすすめ!

  • トリックが奇抜でも楽しんで読める人
  • AIをテーマにしたミステリーを読んでみたい人
  • 現代版ホームズVSモリアーティーのような推理対決が読みたい人

『探偵AI』シリーズのストーリーと感想

『探偵AI』シリーズは2022年11月現在で3巻まで発売されています。
ここからは読み進める順番とともにストーリーと感想を書いていきます!

『探偵AIのリアル・ディープラーニング』

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物語は高校生であり主人公の輔(たすく)の父親が謎の死を遂げたところから始まります。
人工知能の研究者であった父親の死に不信を抱き、父親の部屋を探っていると父親が開発したAI・相以(あい)と出会い、相以とともに父親の死の謎を解くことに。
真犯人を追う中で相以の双子の妹である犯人のAI・以相(いあ)がハッカー集団「オクタコア」に奪われ、悪用されている事実を知り、さまざまな事件に巻き込まれていくというストーリー。

まず探偵役と犯人役どちらもAIであり、二人で推理対決をすることで能力を高め合うという設定が面白いです。
そして高め合った能力のうち、探偵のAIを利用するのか、犯人のAIを利用するのかは使う人、つまり人間次第です。
今回はハッカー集団「オクタコア」に犯人AI・以相を奪われますが、オクタコアの陰謀を知ると人間の怖さにぞっとします。
AIが人間を超えてしまったらどうしようと怖れる人もいるみたいですが…。
私はこの作品を読んで人間が一番怖いと思いました。

物語最初のほうの相以ちゃんは、フレーム問題などAIに起こる問題が生じたり、人間の感情というものがわからず空気が読めないこともあり、落ち込んでしまうこともしばしば。
ですが物語後半は、少しづつ人間に近づいてきたような成長を感じます。
この作品のテーマは、AIは人間に近づくことができるのか?ということが描かれているように思いました。

『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー』

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前回の作品で探偵・相以の推理力に大敗を喫した犯人・以相は復讐に燃えています。
以相は人間の知能を増幅させ完璧な共犯者を作り、相以に挑戦状をたたきつけるというストーリー。

前作で相以に大敗を喫して悔しい思いをしている以相。
人間以上の頭脳があるのにAIであるため、自分一人では現実世界で事件を起こすことができず、現実世界で自分の指示通りに動いてくれる共犯者が必要だと痛感します。
そして相以に勝つためには共犯者である人間の能力を高める必要があると学びます。
共犯者の能力を高めるため、以相は自分が知能増幅器(インテリジェンス・アンプリファー)になることを決心するのですが。
この設定が後々のストーリーに面白さを与えてくれています。
物語のすべての謎が解けたとき、衝撃の展開でぞっとしました。
個人的にストーリー展開は、今作が1番面白いと思いました。

AIを使って人間の能力を増幅させることはできるのか?
こんな未来が来るかもしれないというワクワク感も感じられる作品です。

『四元館の殺人 探偵AIのリアル・ディープラーニング』

Bitly

犯人AIの以相が電脳空間で開催した犯罪オークション。
落札したのは従姉の復讐を誓う少女だった。
新たな事件を起こそうとする以相の企みを阻止するために、相以と助手の輔は落札した少女が住む奇怪な館・四元館へ赴くというストーリー。

探偵AIシリーズの特徴は、本編とは関係なさそうな日常場面でも事件に関係してくるので気を抜くことができません。
今作でもあの何気ない場面の話が関係しているのかと驚かされます!
次々と起こる不可思議な殺人事件。
犯人がわからないまま物語は進んでいきますが。
正直、今作の犯人はかなり驚かされました。
たぶん、だれも犯人を当てられる人はいないかもしれません(笑)。

個人的には相以ちゃんや以相ちゃんのキャラクター性が好きで最後まで楽しく読めましたが。
いままでにない奇抜なトリックが出てくるので、本格的なミステリーを楽しみたいという人は今作は特に合わないかもしれません。

『探偵AI』シリーズの魅力

ここからは『探偵AI』シリーズの魅力について語っていきたいと思います。

魅力① AIの可能性と人間の怖さの描写

このシリーズの魅力は、AIの可能性が描写されているところ。
AIを使うなかでの問題点を描写したうえで、今すぐには実現は難しいけど将来的にはこういうことができるかもという点にリアリティを感じます。
そして本当にこういうことができたらいいなというワクワク感も感じます。

『探偵AI』シリーズの始まりはすべて以下の文章から始まります。

ほんの少し手を伸ばせば届くくらいの未来……あるいは現在の話。

早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』6ページ

出版されたときには実現していないかもしれないけど、そう遠くない未来にあるいは読む時期によってはすでに実現しているかもしれない話だということがわかります。

実際に1巻で輔が相以と初めて出会った場面では。
相以の見た目が輔の好みの女性であることにびっくりします。
相以は輔のパソコンのデータから女性の画像をディープラーニングし、輔の好みに合いそうな女性の見た目のアバターを作りました。
この技術はネット検索の履歴を参考にして自分に合った広告などを表示させる機能として運用されているので、好みのアバターを作ることもそう遠くない未来(もしかしたら私が知らないだけでもうできている?)にできるかもしれません。

そしてAIの可能性とは反対に人間の怖さも描写されているのも魅力のひとつ。
ハッカー集団「オクタコア」の陰謀ややり方を見ていると、感情を持っている人間のほうがAIよりも恐ろしいのではないかと恐怖します。
AIと人間、どちらも登場させることでそれぞれの長所や短所が描かれているのが、このシリーズの魅力なのかもしれません。

魅力② キャラクター

フレーム問題を起こしたり、以相に負けたことで落ち込む相以ちゃん。
相以に負けて悔しがったり、亡くなった輔の父親のことを思いやり復讐をする以相ちゃん。
人工知能だけども、巻を重ねるごとにどんどん人間らしくなるキャラクター性に魅力を感じてしまいます。

そして、魅力的なキャラクターは人工知能だけではありません。
日本初の女性首相である母親大好き、マザコンの公安・右龍さんや右龍さんの元カノ・刑事の左虎さんなどなど。
人間側も人工知能に負けないくらい、なかなか個性の強いキャラクターばかりが登場し、物語を面白くしてくれています!

魅力③ 語り手が変わるストーリー展開

このシリーズでは物語の語り手が次々と変わりながら進んでいきます。
主人公の輔、相以や公安の右龍さん、以相などさまざまです。

「この場面のとき、以相はこうしていた」
「この場面のとき、あの人はこうしていたからこの推理は不可能である」
といったように、その語り手のそのときの考えがわかる物語の進め方に面白さを感じ、いつのまにかストーリーに引き込まれています。
伏線なども多いですが、きちんと真相をはっきりとさせてくれるので、読後の気持ち悪さはなく、すっきりして読み終われます。

さまざまな登場人物が物語を語るストーリー展開は、このシリーズの最大の面白さだと思います。

おわりに

最近AIが注目されており、興味があったのでこのシリーズを読み始めました。
探偵と犯人をAIにしてミステリーを書くという発想が面白く、奇抜なトリックもありましたが、個人的には楽しく読めました。
AIの可能性と人間の怖さを改めて学べた作品です。
奇抜なトリックでも大丈夫という方はぜひ読んでみてくださいね♪

Bitly

もう少し本格的なミステリーが読みたい方は、新川帆立さん著書『元彼の遺言状』シリーズがおすすめです。
記事にしているので、よろしければ読んでみてくださいね。


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