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先祖探偵

読書

こんにちは、いろはです。
関東はしばらく曇りの日が多かったですが、今日は久しぶりの秋晴れです。
今日は活動的な一日になりそうです♪

さて今回は、7月に発売された新川帆立さんの新作『先祖探偵』を読み終えたのでご紹介したいと思います!
手続きが面倒だと感じていた戸籍についてのお話。
本書を読むと戸籍についての考え方が変わります!

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新川帆立さんの代表作『元彼の遺言状』シリーズもおもしろいです!
登場するキャラクターが濃くて勢いがある作品で読みやすいので、新川帆立さんの本を初めて読む人はこちらから読むのがおすすめ。
当ブログでも紹介しているので、気になる人はぜひ読んでみてください♪

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『先祖探偵』は、戸籍をテーマにした人間味が感じられる小説!

グラフの見方については以下の記事を参考にしてください。

縦軸は、テーマが戸籍という少し難しいイメージのものが設定されていますが、文章自体は難しくなくスラスラと読むことができるので初心者向けの位置づけに。
構成が5話編成で1話で話が完結する部分も読みやすいポイントです。

戸籍の話だけで1冊の本を書いてしまうというアイデアに凄さを感じました。
自分でも知らなかった戸籍のルールなどもあり、学ぶべき点が多かったので横軸の視点・展開は新しい寄りの位置づけです。

以上の点から総合的にはグラフのような位置づけになりました。
新川帆立さんが書く社会派要素がある小説が読みたい人や自分のルーツに興味がある人におすすめの本です。

こんな人におすすめ!

  • 新川帆立さんが書く社会派要素がある小説が読みたい人
  • 自分のルーツに興味がある人

『先祖探偵』のストーリーと感想

7月に出版された新川帆立さんの新作『先祖探偵』。
そのストーリーや感想を述べていきます。

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『先祖探偵』のストーリー

依頼人のご先祖様を戸籍からたどり、その人のルーツを調べる先祖探偵。
探偵であり、主人公の邑楽風子(おうらふうこ)は20年以上前に母親と生き別れとなった捨て子です。

「お母さんの名前も自分の名前も聞かれてもわからないと答えなさい」

そう強く言い残した母親の言葉通り、自分の本当の名前もわからなくなてしまった風子。
自分のルーツともいえる先祖を探すため、先祖探偵を始めた風子のもとにはさまざまな思いを持った依頼人が集まるという話です。

『先祖探偵』を読んだ感想

第一話では幽霊戸籍、第二話では棄児戸籍、第三話は焼失戸籍、第四話は無戸籍、第五話で棄民戸籍がそれぞれテーマとなって登場します。
ほとんどのものが聞いたことがないものばかりですが、それぞれに意味があり、社会的な問題として考えなければならないと感じさせられました。

本書で登場する依頼人たちは戸籍によって不自由を強いられる人も登場します。
ただの紙切れの契約であり、手続きがとても面倒くさい…。
そう思っていた戸籍が本書を読むと、誰でも簡単に戸籍を取得できるという考えが間違っていること、きちんと管理しないと悪い人に悪用される恐れもある怖い存在であることに気づかされます。
特に第一話のお話は、戸籍について詳しければ現実世界で自分の身にいつ起きてもおかしくない話だったのでぞっとしました。

そしてラストのお話は、風子が母親に捨てられた理由が判明するのですが。
その理由が切なくて。
自分たちにとっては当たり前の存在である戸籍によって娘を捨てる覚悟をした母親。
その理由を知ってそれでも母親と過ごす時間以上に大切なものはなかったと思う風子。
お互いの立場の思いに切なさを感じると同時に自分自身がどれだけ恵まれた環境で育てられたかということを実感しました。

本書を読むまで戸籍を取得することができない人がいるということもわからなかった自分。
その無知さに気づかせてくれた本書はいい作品だなと思いました。
そしてできることなら風子や依頼人たちのような辛い思いをする人が、少しでも現実世界で減りますようにと思わずにはいられません。

『先祖探偵』の魅力とは?

ここからは、『先祖探偵』の魅力について語っていきたいと思います!

魅力① 戸籍という身近なものをテーマに設定

新川帆立さんの作品は、テーマ設定が上手いなと感じます。
戸籍という日常で触れることが多いものですが、みんな詳しくはよくわからない…。
むしろ手続きが難しくて面倒くさいし、なくてもいいのではと思ってしまうことも。

そんな身近な存在の戸籍に注目して、戸籍からご先祖様をたどって自分のルーツを調べよう!というアイデアがすごいです。
そのルーツを探る探偵を設定し、主人公の風子が捨て子の設定で自分のルーツを探るために探偵を始めるという点もよく考えられているなと感じました。

魅力② 社会問題を作中に取り入れ、読者に考えさせる

これは新川帆立さんの著書全般にいえることですが。
ただ読んでおもしろかったなで終わるのではなく、社会問題をさりげなく取り入れて読者に考えさせる要素を盛り込んでいる点も魅力のひとつ。

戸籍は誰でも簡単に取得できるものではないこと、そのために悲しい思いをする人がこの世の中にはいるということを学びました。
そして同時に、当たり前のように戸籍を持っている環境に自分がいるということは恵まれていることだと気づかされました。
手続きがわからない、面倒くさいという些細な悩みはありますが、それ以上の悩みを抱えている人がいるということを肝に銘じなければならないと思いました。

小説は気づきや学びが得られないものと思っている人が多いかもしれませんが…。
こういう読者に考えさせる要素を物語に上手く取り入れられるのが、新川帆立さんの作品の最大の魅力だと思います。

魅力③ 旅やグルメ要素が登場!

今作品では依頼人のご先祖様からルーツを調べるため、直接ご先祖様が住んでいた場所を実際に訪れる場面が登場します。
旅先でさまざまなおいいしいものを食べる場面は新川帆立さんの作品では新鮮に感じます。

ルーツを調べていくうちに、少し暗い話が登場することもあり、なんとなく心が重くなることがありますが…。
やはり生きていく中で食事は大事なのでしょうか。
おいしそうな料理の場面がでてくるとほっとした気分になり、物語を明るくしてくれます。

その人のルーツに迫っていくうえで物語が暗い雰囲気になりすぎないように、グルメや旅の要素は考えられて取り入れられているのかもしれません。

おわりに

個人的には『元彼の遺言状』シリーズのほうがミステリー要素強めで好きですが、『先祖探偵』も新川帆立さんらしい社会派的要素あるお話でよかったです。
今度はドラマにもなった『競争の番人』を読んでみたいなと思います!

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新川帆立さんの代表作『元彼の遺言状』シリーズについての記事はこちらです♪

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