こんにちは、いろはです。
最近は日が暮れるのが早くなり、冬が近づいてきましたね。
だんだん家に引きこもりたくなる季節…。
今月は、たくさんの本が読めるといいなと思います。
さて今回ご紹介する本は、青山美智子さん著書『鎌倉うずまき案内所』です。
さまざまな悩みを抱えた人が案内所にやってくるのですが…。
悩みを解決してくれるのがまさかのアンモナイト(笑)。
「なんでアンモナイト?」と突っ込みたくなりますが、作品自体は心温まるエピソードばかり。
とても癒しを与えてくれる作品でおすすめです!
『鎌倉うずまき案内所』は読書初心者にも読みやすい!人々の悩みをアンモナイトが解決する心温まる小説
グラフの見方については以下の記事を参照にしてください。
縦軸の読みやすさについては、とても読みやすい作品です。
難しい文章表現もなく、スラスラ読めるので読書慣れしていない人も読みやすいと思います。
横軸の展開や視点については、悩みを解決してくれるのがアンモナイトの所長さんというのは斬新なお話。
人々の悩みを解決していくというストーリーは展開が分かりやすく、悩みも共感できるものが多いですが、そのためよくあるお話という印象があり、新しさは少ないかもしれません。
以上の点から総合的には上記のような位置づけにしました。
全体的にとても読みやすい作品なので、読書初心者や心温まるストーリーに癒されたい人、鎌倉に興味がある人におすすめです。
こんな人におすすめ!
- 読書初心者
- 心温まるストーリーに癒されたい人
- 鎌倉に興味がある人
『鎌倉うずまき案内所』のストーリーと感想
ここからは、『鎌倉うずまき案内所』の簡単なストーリーと感想を書いていきます。
『鎌倉うずまき案内所』のストーリー
悩みを持った人が鎌倉を訪れると、現実世界とは異なる世界「鎌倉うずまき案内所」へと導かれます。
そこには、オセロに励む双子のおじいさんとアンモナイトの所長がいます。
導かれた人々はそこで悩みを打ち明け、アンモナイトの所長から助言とお助けアイテムを教えてもらいます。
案内所を出て現実世界に戻り、悩みと正面から向き合い、悩みの本質に気づくことで人は成長していく…。
鎌倉うずまき案内所に導かれた、悩みを持つ6人を平成を6年ずつさかのぼって描く物語です。
『鎌倉うずまき案内所』の感想
この小説は友人から
「アンモナイトが悩みを解決してくれる小説でおもしろいから読んでみて!」
とおすすめされて読みました。
アンモナイトという珍しいキャラクターが気になって読んだのですが、小説の中に登場すると想像以上に面白い!
でも現実世界で出会うとかなりシュールな光景になりそうです(笑)。
また作中では6人の悩んでいる人が登場しますが、それぞれの話に登場した人が別の話でも関わっていたりして「なるほど!」と思う場面があります。
6人の悩みも共感できるものが多く、最後は心温まる話で終わるのでほっこりとした気分になり、癒されます。
読み終わったら、鎌倉に行って案内所を探したくなります!
『鎌倉うずまき案内所』の魅力
ここからは『鎌倉うずまき案内所』の魅力について語っていきたいと思います!
魅力① 心温まるエピソードと考えられたストーリー構成
鎌倉うずまき案内所の一番の魅力は、心温まるエピソード。
みんないろいろな悩みを抱えているけれども、誰かに打ち明けて自分で悩みと向き合うことで悩みの本質に気づく。
そして人は成長する。
そのことに読者は本書を通して気づかされます。
どのお話も最終的には登場人物が成長し、良い方向に話が進むので応援したくなります。
またストーリー構成もよく考えられています。
6人の悩める人が年代をさかのぼって登場しますが、6人全員がそれぞれ少しずつ関わっています。
この話で登場した人が別の話のこんなところに登場している!という発見があるのも面白いです。
でもこれは小説の中だけではなく、現実世界でも実は気づいていないだけでみんな少しずつ関わりがあって現在に至っているのかもと考えるとなかなか感慨深いです。
そして本書の最後に実際の平成の年表と『鎌倉うずまき案内所』の世界の年表が出てきます。
この年表がとてもよく考えられているもので。
この時代にこの人とこの人が出会っているといった情報を分かりやすく整理した年表になっています。
「この話でこの人とこの人も出会っていたのか!」と年表を見てから気づくこともあり、もう一度最初から読み直したくなる面白さがあります。
魅力② 登場人物
鎌倉うずまき案内所には多くの登場人物がいますが。
特にインパクトがあるのは案内所にいるアンモナイトの所長さん。
インパクトを与える以外にもきちんと考えられた設定もあると思います。
所長をアンモナイトにした理由は、個人的にはうずまきが関わっていると思っています。
この作品ではアンモナイトの所長さんが悩んでいる人のお助けアイテムを教えてくれるのですが。
すべての話で渦に関係するアイテムが挙げられています。
そして世の中には渦のものが多く存在していて、うずまき自体はパワーを持っていると作中で述べられています。
そこで所長さんも渦に関係するものにしようと考え、アンモナイトを選んだとしたらすごく考えられた小説だなと感じます。
また6人の登場人物の悩みもそれぞれで。
会社を辞めたいと思っているけれどなかなか言い出せない20代男性。
息子の進路に悩む母親。
学校生活での孤立を恐れ、無理な友人関係を続ける女子中学生など…。
「あ~こんな悩み、私も持っていたな…。」
と共感できる悩みが多いので、感情移入しながら読み進めることもしばしば。
そんな肩入れした登場人物たちが悩みと向き合い、成長していく姿を読むとじーんと感動するものがあったり、自分も頑張ろうと勇気ももらえたりします。
魅力③ 現実世界の情勢とも合わせた世界観
『鎌倉うずまき案内所』の世界の話は2019年から始まり、そこから6年ずつさかのぼり、最終的には1989年で話は終わります。
そのため、平成の歴史をまるまる振り返ることができます。
実際作中でも消費税増税の話、昭和天皇崩御で自粛ムードの話、ポケベルやたまごっちといったその時代に流行したものが物語に取り入れられています。
消費税の話は、平成の最初は3%だったのに今となっては10%!
時代の流れを感じてしまいますね(笑)。
平成生まれの私には
「あ~こんなの流行った時代だったな!」
と懐かしい気持ちになり、親近感を覚えながら読んでいました。
小説の世界に現実世界の情勢を取り入れることで現実世界を感じる世界観ができあがり、小説だとわかっているのに「本当に鎌倉に行けばうずまき案内所に行けるのかも!」という気持ちにさせてくれます。
どこまでが現実でどこからが小説のなかだけの話なのか。
曖昧な世界観も魅力のひとつなのかもしれません。
おわりに
青山美智子さんの本を初めて読んでみましたが、心温まるストーリーに癒されました。
ストーリー構成も考えられていて、なるほどと思う場面もあって面白かったです。
他の作品も機会があれば読んでみようと思います。
心温まるストーリーに癒されたい人は『鎌倉うずまき案内所』をぜひ読んでみてくださいね♪
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